(地域活性)地域コーディネート機関連合による地域の担い手不足解消実証事業

地域・社会課題

東北では地域産業の減退と更なる人口流出の悪循環が生じているものの、復興過程で関係人口となった人材と地域企業のマッチングにより好循環に移行し始めた地域もある。一方、マッチングを図り好循環を生み出す役割を担う地域コーディネート人材は不足。復興事業が収束するなか、育成の機会も減少。地域を持続可能とする好循環を生み出す地域コーディネーターを育成し、東北全体をカバーするネットワークを創出する必要がある。

実証内容
  • 地域の事業者や住民の実現したい姿や課題を聞き、解決のためのプロジェクトを構築し、ふさわしいスキルを持った人材を募集。
  • 地域コーディネーターも含めて面接を行うとともに、マッチング成立後の伴走支援、プロジェクト終了後の振り返りを行う。
  • 復興の過程で培われた東北の関係人口コミュニティを活性化させるため、他のプロジェクトの紹介やオンラインイベントの開催、クラウドツールを利用したコミュティの形成を行う。
  • 地域コーディネート機関が連携し、オンラインツールを活用してノウハウの共有や新サービスの開発等を行うなど、持続可能な地域コーディネート機関への変革を図る。
  • 自治体等との連携も進め、東北全体をカバーするネットワークを目指す。
収益源

経営革新プロジェクトを実施する企業からの課金
関係人口コミュニティ会費、自治体からの助成金等

事業者名
実証地域

青森県:八戸市、南部町、外ヶ浜町、つがる市、平川市、野辺地町、弘前市
岩手県:盛岡市、紫波町、岩手町、山田町、矢巾町
宮城県:仙台市、石巻市、女川町、東松島市、南三陸町
秋田県:羽後町、横手市、湯沢市
山形県:山形市、酒田市、南陽市、上山市、天童市、新庄市、山辺町、舟形町、 金山町、鮭川村、鶴岡市、米沢市
福島県:郡山市、本宮市、富岡町、大熊町、楢葉町、葛尾村

コンサルタントからの応援コメント

一般社団法人ワカツクを幹事事業者とする、東北地方38地域を実証地域の場とし、地域コーディネート団体との連携によって、コーディネーターの育成、関係人口コミュニティの活性化を目指したプロジェクトである。単一の地域事業者では成し得ない事業を、東北各地の事業者が連携することにより、新たな価値の創造を目指そうとするものである。

人材不足に悩む地方において単純な関係人口の創出といったイベント施策ではなく、過去の慣習からどうしても閉鎖的になりがちなコミュニティの本質を突き、外部人材のプロジェクト登用などを通じて地域に想いのある血の通った関係人口を構築する一つのお手本を示している。こうした肌理の細かい支援は、全国における類似施策とは似て非なるものであり独自のノウハウと評価される。

高い公益性を備えた事業であるものの、持続的に収益を上げていく仕組みづくりが今後の課題として挙げられる。事業者間の連携体制の整備が今期でさらに充実できたと考えられるため、東北地方における「面」としての事業者ネットワークの利点を活かして、東北地方の課題に取り組みたい首都圏をはじめとした他地域の事業者からのプロジェクトが進むことも期待したい。